衣装クリーニング工程
バレエ衣装は、そのきらびやかさとは裏腹に、肌に直接触れる為に、その汚れは複雑でやっかいなものと成ります。そしてデザインも様々で、チュチュなどに代表されるように、洗濯機にマッチしないものばかりです。
私共が初めてバレエ衣装を受け、洗浄・仕上げをしたのがバレエ貸衣装でした。それは一度使用した衣装を洗って仕上げをして、それを又違う人に貸して行くというもの、その品質で一番要望されたのが「匂い」の除去でした。以下に、その工程を紹介致します。
☆目次・・・・
1.一点一点の検品
2.衣装の洗浄
3.衣装水洗いの効用
4.オゾンガスの消臭・除菌作用
5.オゾンガスでの消臭の限界
6.出荷
1.一点一点、点検をします。 バレエ衣装の場合、汚れる所は脇、首周り、チュチュであればその内側です。後は全体を点検し、次に色が出ないか、事前チェックを致します。二番目の写真をご覧ください、一点一点の衣装にコメントが書かれ、取り付けられて居ます、このメモが、洗浄担当に伝えられるのです。 |
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2.衣装の洗浄 肌に直接触ることが多い衣装は、ドーランと汗が混合した汚れが付きます、そしてその汗にも様々な成分が有ります。それを一か所ずつ、メモを参照しながら、特殊洗剤を用いて除去して行きます。手洗いを終えた衣装はオゾン水で洗浄を致します。洗浄を終えた衣装は、自然乾燥を施します。 |
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3.衣装を水洗いすることの効用 チュチュの張りが取れてしまう懸念があり、衣装の中でもチュチュは水洗いはしない方が良いとされて居ます。しかし私共ではチュチュを「オゾン水」で洗います、ちょっとしたコツは有りますが、このオゾン水洗いでチュチュは張りを取り戻します。
汗を沢山吸った衣装は、水洗いをしないと綺麗には成りません、しかしチュチュ水洗いは難しいです、これも多くの経験と学びを重ねて来た私共の特殊技術です。
さて、私共では洗う前に必ず色が滲むか事前点検を致します。そして結果、色の出る衣装の中には、全体洗浄が出来ないものもございます。しかし汚れの度合いは変わらない訳です、これは今も課題です。
☆対応方法として *色止めをしながら、一点ずつ、つきっきりで様子を見ながらの洗浄を行うことも有ります。 *オゾンボックスに入れて、全体にオゾンガス消臭を施します。 *いくつかの方法を駆使しながら衣装の素材デザインに合わせた、よりダメージの少ない方法で、一点一点お取り扱いしております。 |
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4.オゾンガスによる消臭作業 自然乾燥の後、脇などに匂いの残るものが有ります。これは汗の成分の違いで、残るのです。これはオゾンガス消臭ボックスで消臭を致します。汗の匂いの原因は雑菌によるもので、それに最も効果を発するのがオゾンガスです、この消臭で、大凡の匂いは除去されます。 |
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5.オゾンガスでの消臭の限界 尚、大変申し訳有りませんが、このオゾンガスでも取れない匂いが有ります。それが、香水、強い腋臭です。オゾンガスは匂いの根源である雑菌を酸素分子が破壊するのですが、例えば香水の香りは雑菌ではありません。
香水は香料と呼ばれる成分が合成されたもので、そこにエタノールなど化学製品も混ざって居ます。このエタノールや香料は、空気に触れるとだんだん拡散します。結果、時間が経つと消えてしまうのですが、繊維に深くしみ込んだ香水は、なかなか取れません。
オゾンガスでの匂いの除去の限界、しかしオゾンガスで取れない場合には、アルコール・重層などを使い出来るだけその匂いを薄くすることは可能ですので、どうかご相談下さい。 |
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6.出荷 以上の工程の後、最終品質チェックを致します。脇汗の変色が残っているものは、もう一度、洗浄に廻します。匂いの残っているものはもう一度オゾンガスボックスに戻します、この最終チェックの後、梱包出荷と成ります。 |