お洋服によって素材やデザイン、汚れ方も異なります。
大切なお洋服をお預かりし、それぞれの状態に応じて用いる洗浄方法も異なります。
洗浄の実際についていくつかご紹介しております。
おしゃれ着への移染
おしゃれな婦人服、ちょっと変わったデザイン、お客様今は努力されて、こういったデザイン服までご自分で洗われるのです。
でもこのような服は単品の手洗いで洗って欲しかったです。


結果、胸と袖先に移染が起きてしまいました。さあ、どうするか?
お客様の悲しそうなお顔を見ながら、何とかせねばと鉢巻をしました(ー_ー)!!
生地は綿、男性もののようなワイシャツデザインのロングブラウススソの両サイドに、プリーツが縫い込まれています、おしゃれです。
移染処理は、付いた色だけ取り除くのですが、なかなかそうは問屋は卸しません。血を抜かずに肝臓だけ取れますか?とお医者に聞くようなことに近いかも知れません。
先ずは、基本の色から色が出ないかと、確かめる作業から入ります。そして色が動かないことが分かったら、移染処理開始です。この処理では、お湯を90度以上に上げますので、それに耐えられるか、それも慎重にせねば成りません。


良かったです。
付いた色だけ、抜けてくれました。下の写真、向かって右側に新たに変色が産まれています。恐らく、汗の残骸でしょう。
これは別の処理とすることにしました。
この服、染色が堅牢でしたので、色も滲まずに済みました。
良かった良かった、本当は余りやりたくない仕事の一つです、でも、取れて良かったです。
ブランドバッグのシミヌキ & クリーニング
今日は、ブランドバッグのクリーニングを紹介しましょう。
今回お客様は、バッグの持ち手を綺麗にしたいとのご希望でした。
持ち手以外にも、かなり汚れていましたが(生地はキャンバスです)、特に持ち手は、この状態でした。手の垢と脂、そして埃が混合して、変色に近づいて居ました。
この場合も、汚れは順番に取り除いて行きます。順番とは・・・、
汚れは一番上に、脂が来ます。先ず、その脂を、油性シミヌキ剤で落します。その次には水溶性の汚れが鎮座して居ます。それはタンパク質を含んだ水溶性の汚れで、この場合は、家庭用の食器用洗剤を使用しました。
シミの最後に残るのが、色素ですが、この持ち手はもともとアイボリー色なので、色素沈着は有りませんでした。もし、色素が残ったら、漂白をします。しかし漂白は下手には出来ません、真っ白になってしまう場合が多いからです。
いかがでしょう、持ち手、綺麗に成りました)^o^(
お客様、喜ばれると思います。
バッグの全体像です、お客様に掲載ご許可はいただきました。
全体はウエットクリーニングをしました、しかし、革が使われていて多少色も出ます、それを気を付けながら、洗いました。
少し、新品に近づけたかなと思いました。
背広に付いたカビが取れますか?、臭いも取れますか?
最近、このようなお客様からの質問が多いです。
カビの匂いって、カビは微生物で、その生物が発する臭いです。独特の乾いたような臭いがします、先日の台風で被害を負った千葉県では、屋根をやられた家々が、雨をもろに受けていて濡れた畳や柱にカビが這え始めて居ます。この臭いはたまったものではないでしょう。元気なのは、カビだけです。
さて、そのカビの匂いを取って欲しいとお客様から電話が入りました。お宅はオゾン水とか使って、クリーニングしているのでしょう?ってホームページを閲覧された方からの連絡でした。
早速宅急便で送っていただきました、やはり千葉の方でした。背広が三着、他の品物はもう諦めたのだが、この背広だけは何とかなりませんか、と、必死のお頼みでした。
カビだらけの背広、ご想像いただけると思います(お客様の背広にて、写真は撮れません)、白くうろこ雲のように背広が変化して居ました。
★写真はネットから(これはまだ良い方と思います)
カビのついた背広は、水で洗えば見た目は取れてしまいます、でも、臭いは残ってしまいます、これはオゾン水でも間に合いません。カビには根っこがあり、生地の奥に張った根っこは、洗っただけでは残っているのです、つまりまだ生きているのです。
さて、どうするか、これにはオゾンガスを使用します。オゾン水を作る元のガスです。この殺菌力は半端では有りません、塩素の数百倍と言われていますね。まだカビの臭いの残っている背広を、このガスに晒しました、約一日晒しました。
殺人ならず、殺カビです。
一日晒した背広、僅かなオゾンの香り(これは時間と共に消えます)を漂わせながら、見事にカビの臭いは去って居ました。
良かったなあ、これで、背広お召しになれますねと、気持ちを込めてお送りしました。