シルクブラウスの移染処理です。
お客様から電話が入り、シルクブラウスが移染してしまったと嘆きの訴えが来ました。家の洗濯機を洗ったとのこと、それも他の品物と一緒に、勇気ある行動です。
ごらんのように、ブラウスの上半身に移染が起きて居ました、下の方は大丈夫でした、何故なのか、移染は、絞りの時に起きる現象です。洗っている時にはほとんど起きません、ですから、絞りを注意すれば防げることなのです。
移染処理を行います、やり方は、強い界面活性効果を利用した、色素の分離を促す方法です。
処理液に、ブラウスを浸けこんだところです、処理液の温度は90度以上となります、これに20分程浸けこみます。
綺麗に成りました、何故色素が取れるのか、移染が起きてそう時間が過ぎていないので、繊維についた色素が剥がれるのです。時間が経ってしまうと、こうは行かなく成ります。
対応は早め早めに、よろしくお願い致します。
ブランドバッグのシミヌキ & クリーニング
今日は、ブランドバッグのクリーニングを紹介しましょう。
今回お客様は、バッグの持ち手を綺麗にしたいとのご希望でした。

持ち手以外にも、かなり汚れていましたが(生地はキャンバスです)、特に持ち手は、この状態でした。手の垢と脂、そして埃が混合して、変色に近づいて居ました。
この場合も、汚れは順番に取り除いて行きます。順番とは・・・、
汚れは一番上に、脂が来ます。先ず、その脂を、油性シミヌキ剤で落します。その次には水溶性の汚れが鎮座して居ます。
それはタンパク質を含んだ水溶性の汚れで、この場合は、家庭用の食器用洗剤を使用しました。
シミの最後に残るのが、色素ですが、この持ち手はもともとアイボリー色なので、色素沈着は有りませんでした。もし、色素が残ったら、漂白をします。しかし漂白は下手には出来ません、真っ白になってしまう場合が多いからです。

いかがでしょう、持ち手、綺麗に成りました)^o^(
お客様、喜ばれると思います。

バッグの全体像です、お客様に掲載ご許可はいただきました。
全体はウエットクリーニングをしました、しかし、革が使われていて多少色も出ます、それを気を付けながら、洗いました。
少し、新品に近づけたかなと思いました。
シミヌキの奥深さ
シミヌキは奥深いです。生地とはもともと生成り(白に近い)色で、それに染色したものです。糸染め、生地染めと、その染色にもやり方が有ります。近年では、生地に筆で描いたものや、印刷したものも有ります。つまり千差万別な訳です。
シミは、その上に付きます、それも食べ物、飲み物、ボールペンや口紅、化粧品等々、色々なものが付き、広がります。
つまりシミヌキとは、その地色は取らずにその上に付いた、様々な有機物、無機物を取り去る作業と成ります。
写真(一枚目のイラスト)はそのシミの状態を示したものです、シミは洋服に付きますと必ずこのような状況を造ります一番上は油分、その下に水溶性の汚れ、その下がたんぱく質、そしてタンニン、一番下が色素となり、それらが重なります。
ワイシャツの襟シミの写真をご覧ください、この襟の汚れは、イラストを代表する汚れです。シミヌキは、このイラストの上から順番に取り除いて参ります。
この順番を違えると、シミは落ちません、つまり油性のシミヌキの前に水溶性のシミヌキを施しても、シミは動かないのです。最後に色素と書かれて居ますが、この色素は新しいシミでは残りません。
シミは、約一週間くらいでしょうか、シミにより違いますが、それ以上過ぎますと、変色シミに変化します。これは鉄が錆びるのと同じ現象で、シミの成分が酸素と化合して起こる現象です。
変色は、生地の色も奪ってしまうので、この時点でシミヌキの方法は一変します。今度はシミを抜くのではなく、化合した酸素を取り除くことに成ります、取り除くことを酸化漂白、つまり皆様がご存じの漂白という作業に変わって行きます。
有機性のシミが洋服に付いた時の構造です。
ワイシャツ襟の汚れビフォー・アフターです、シミの構造が参考に成ります。
特殊シミヌキ技術